AC の 2008 年度地域(東京)キャンペーン
このCMを見る度、亡き母が時折呟いた言葉を思い出します。
「日本もアメリカみたいに死ねる時が選べたらいいのにね~。」と・・・。
また、持病のある私の身体を心配して「頑張ってる○○ちゃんに比べたらこんなこと大した事じゃないのよ」とも。
そんな言葉を聞くたび、私は母の心の奥底にある不自由な身体になったことへの悲哀を感じずにはいられませんでした。
Vox以前のBlogからここをご覧いただいている方々にはお知り於きいただいていることなのですが、私は昨年末まで実母の介護に約6年間ついていた経験があり、そんな生活の中で母の心の葛藤を目の当たりにしてきて思うこと、考えさせられたことが沢山ありました。
まず、問題の殆どは実際に介護と言う中に身を置かないと分らないことばかりのようにも感じていますが、後で考えればほんの少し相手の立場に立って考えるだけですむことばかりであることにも気付かされるのですけれど、如何言う訳か咄嗟の判断を要する事態ではなかなかそうも行かないことばかり・・・。
けれど、経験を重ねるうちにそういった問題への理解と行動も可能になっていくものではありましたが、介護を受ける側の心にある相手に対する感謝と気遣いに同等する気負い(辛さ)だけは、なかなか軽くしてあげられないもどかしさを感じていました。
実母の状態は・・・
6年前、腰椎圧迫骨折により一時は車椅子生活になったものの、リハビリの甲斐あって1年後には介助と杖があれば歩行可能なまでに快復していましたが、折り悪く持病の緑内障の進行が追い討ちをかけ、殆ど視力の無い(明暗だけ判別可)状態となっていました。 心理的な面で一時的に寝たきりの状態に陥った時期はあったものの、本人の努力で日に数時間の散歩が可能なまでになり、様々な障害を抱えながらも前向きに暮らしていた次第でした。
でも、そんな日々の中で一番辛く感じたのが・・・、周囲の方の心無い言葉と乱暴な行為でした。
障害への甘えた気持ちだけは持たないよう、母も私も心に言い聞かせ行動するよう心掛けていましたが、それでも極端な考え方の方々には障害ある者というだけで許せないものがあるかのように感じたことが多々ありました。
例えば・・・
母がまだ杖を突いて歩けていた頃に遭ったことですが・・・、緑内障による視野狭窄で介助があっても10cm刻みほどの歩行状態だった時、人が充分行き交せる歩道で後ろから来た自転車の青年に追い越されがてら、「ボケ!何てれてれ歩いとんじゃ!」「まともに歩けんヤツは家にすっこんでろ!」と言い放たれたうえ、母の杖を蹴り飛ばされたことがあったり・・・。
通院は通常タクシーを利用していたのですが、ワンステップバスが走行し始めた頃にテスト的に利用した際、降車ステップでもたついていた私たちを舌打ちとともに突き飛ばし走り降りた青年がいて、そのまま転げ落ちた母は全治1ヶ月の治療を要す打撲を負ってしまったこともありました。 降車では人の最後に降りる気遣いをしたつもりでいたのですが、母の足元に注意がいってしまっていた私には後から青年が来ていたことに気付けなかったのでした・・・。(注:ゆったりではないものの、並列で降車できるスペースはあったのですが・・・)
そして、病気や障害でお世話になる病院でも、
私自身の医療体験とは相反する、医療関係者の心無い対応に遭遇することもよくありました。
新人といえども眼科という専門分野で、しかもカルテというものを見ている看護士でありながらも、付き添いを不要とする検査室内にあっては、「其処にすわって!」「ここよ、ここ!」「こっちに来て!」と言ったヒステリックな声が聞えることがよくあって、母の「ごめんなさいねぇ、看護婦さん。あたし目が見えないんですよ。」という涙声も聞こえたりしてきて・・・、母から看護士への苦情は止められていたこともあり、黙って任せたままにしていなければならずにいたことも辛いものがありました。
皆が皆、全てのことを経験していければ何のことは無い思い遣りの心も、経験の無い時点ではなかなか深い部分での理解に及ばず、当事者間での思いの行き違いも多くあったりして、難しいことばかりがクローズアップされがちなことに臆病になってしまいますが・・・
このCMのように、お年寄りの動作への理解を少し持つだけでも変わる時間と言うのがあるのではないかと思いました。
このキャンペーン・コピーの『権利』と言う表現には、なんとなく物言いがありそうな予感(苦笑)がしますが・・・、少し待ってあげる心の余裕・・・そんな僅かな時間でも、お年寄りを介して自分に戻ってくるものに何かがあるように私は思えます。
悪く考えれば幾らでも取りようのあるお年寄りの言動ですが、「碌な年寄りしかいない」なんて言わないで、周りの私達の見方が変わると頑なお年寄り達も変わって行ったりするものなんじゃないかと思うのですが。。。